このページでは、スタッフからのメッセージや、皆さんの学生生活に役立つコラムを掲載しています。
疲れを感じたり、気分転換したいときは・・
手軽にできるリラクゼーションについて説明しています
リラクゼーションをやってみよう【その1】(学生相談所カウンセラー 原信夫)
授業がすべてオンラインになり、外出自粛もあって、学生の皆さんも家で過ごす時間が増えていることでしょう。家で少しでも心地よく過ごすため、様々なことを工夫して試みていると思います。何か新しいことを始めた人もいるかもしれません。ここで、もう一つ、新しい試みとして、リラクゼーションをやってみるのはどうでしょうか。
リラクゼーションとは、穏やかで落ち着いた心身の状態(リラックスした状態)のことを言いますが、ここでは、そうしたリラックスした状態を作り出すためのいくつかの方法のことを指して使っています。
これから何回かに分けて、簡単にできるリラクゼーションの説明をしていきます。気分転換にやってみるのもいいですし、練習を重ねて、いろんな場面でリラクゼーションが使えるようにするのもいいでしょう。
今回は初回なので、リラクゼーションをするとき環境についてお話しします。静かな場所ですることが望ましいので、テレビやYouTubeの音は消して、周囲の音が気にならないところで、椅子に座って行います。横になって行うやり方もありますが、座って行った方が応用が利くので最初は座って行う方法をお勧めします。丸椅子は避けて、背もたれのある椅子に、軽く背中をあずけるように座ってください。クッションに座るのでもかまいません。のんびりくつろぐときの姿勢、ふだん座り慣れている姿勢で、まずは座ってみましょう。
音がないと逆に落ち着かない人もいるでしょう。音楽をかけてもかまいませんが、穏やかな状態を作るのが目的なので、それに見合った静かな曲を選びましょう。
リラクゼーションをやってみよう【その2】(学生相談所カウンセラー 原信夫)
リラクゼーションの3つのステップ
今回お伝えするリラクゼーションは、①体の力を抜く、②ゆったりと呼吸する、③他のことを考えずにボーっとする、の3つのステップから成っています。順を追ってひとずつ行い、最後には3つのステップを同時にできるようにします。今回は①体の力を抜く、を説明します。
体の力を抜く
①体の力を抜くは、リラクゼーションで最も大切なカギとなる要素です。人は緊張したり不安になったりすると、体のどこかに必ず力が入っています。普通にしているときでも体に力が入っていて、力が抜けるのは、ひどく酔っぱらっているか、寝ているときだけ、という人もいるぐらいです。ここで言う体の力とは、主に筋緊張のことです。これを意識して抜いていきます。
本当に体から全部の力を抜いてしまうと立てなくなってしまうので、リラクゼーションのためには、体の中で力が入りやすい、緊張しやすい部分の力を抜くだけで、まずは十分です。最初に練習するのは、手と、首や肩です。
手の力を抜く
椅子に腰かけた状態で、両手の手首を少し(一、二、三とゆっくり三つ数えるぐらいの間)、ぶらぶらさせてから、腿の上に静かに下ろしてください。しばらく手を動かさずにいます。両手に、じわーっと、手の周りを覆うような感覚が感じられましたか?この、じわーっという感じはしばらくすると消えていきます。じわーっという感じが消えていくのに合わせて、「力が抜けていく」というイメージをします。実際に、手の緊張がじわーっという感じとともに抜けていくのを味わってください。
手をぶらぶらさせてから止めたときに感じる、じわーっという感覚は、他のやり方でも感じることができます。よく行われているのは、手を軽く握って、力を入れてから離すというやり方です。両手をぎゅっと握って、ぱっと離す。離したときに、両手からじわーっと力が抜けていく感覚が感じられるでしょう。握ったときに入れていた力が、実際に抜けるのです。何度かくり返して、手から力が抜ける感覚を確かめてください。
首と肩の力を抜く
これを試すと、首と肩に力が入っていることに気づく人がいます。力が入っていると気づいたら、しめたものです。首と肩は、気づかずに力が入っていることが多い部分だからです。首と肩はぶらぶらと動せないので、首をゆっくり回したり、肩もゆっくり回したりしてから(これがぶらぶらの代わりです)、いったん動かすのを止めて、首と肩からじわーっと力が抜けていくのを感じます。
力を抜く:さする、とんとん叩くやり方
首や肩は、動かした後に、じわーっという感じ、力を抜く感じを体感するのが難しいかもしれません。そういうとき、じわーっという感じを得るには、さする、軽くとんとんと叩くという方法もあります。力を抜きたいところ、例えば手であったら、手のひらや手の甲を、もう片方の手でさすります(手をこすって洗うように。ただし、力を入れ過ぎてこすってはいけません)、あるいは、軽くとんとんと叩きます(ぺちぺち叩く、ぐらいの軽い感じで)。手を腿の上に下ろして静かに手に注意を向けると、さすったところ、とんとん叩いたところから、じわーっとする感じが感じられます。首や肩なら、その部分をさすり、とんとんと叩いてから、静かにその部分に注意を向けて、そこからじわーっと力が抜けていくのを感じましょう。
学生相談所所員による読書案内
家にいる時間が多いこんな時、読書はいかがですか。
学生相談所所員は学部や学生支援部署等から選出され、学生相談所の活動をサポートしている方々です。
学生相談所所員がお勧めする書籍をご紹介します。
『21世紀の啓蒙:理性、科学、ヒューマニズム、進歩』(上・下) 紹介者 中澤渉(学生部長・社会学部教授)【2025年1月15日掲載】
スティーブン・ピンカー(橘明美・坂田雪子訳) 草思社
戦争、災害、パンデミック、民主主義への攻撃、怪しげな陰謀論、今の世の中問題だらけだ。そうした問題に年中晒されていると、不安になるのも無理はない。
しかし、冷静に考えてみよう。もちろん、世界に解決されていない深刻な問題はたくさんある。人生では、受け入れがたいことも起きる。しかし長い人類史というスパンでみるとどうだろう。
私は職業柄、統計データをみることが多い。時系列データをみて変動があったとき、それが重要な変化なのか、それとも「平均への回帰」として解釈可能か、その見極めは重要だ。個別の事象は当事者にとって何らかの説明が可能でも、長期的スパンをとると「平均への回帰」として解釈できるものはかなり多い。重要なのは、細かなデータの動きではなくトレンドである。そして多くの長期的時系列データが示すのは、世界はより平和で、安全で、幸福な方向に進んできたという事実である。その背景には科学の進歩があった。ただ私たちの生活の中で、科学があまりに当たり前の存在となり、その恩恵が忘れられているのだ。
ニュースはもともとイレギュラーでネガティブなものを取り上げやすい。問題解決志向の科学も、現状をネガティブに捉えがちだ。しかし、先人たちはそうした問題を、科学をベースにした啓蒙主義の力で乗り越えてきた。私たちはその恩恵を受けており、かつてと比較すればマシな(よりよい)世界を生きているはずなのだ。そして大学は啓蒙主義の知識体系を教え、継承し、また創造する役割を担う。この流れは将来も続くだろう。
個人が個人として尊重され、自由な選択を行うことも、そうした啓蒙主義の浸透と無関係ではない。冒頭に書いたような世の中だからこそ、本書のような大局的な視点で物事を眺めることも必要なのではないか、と思う。
『心をととのえるスヌーピー ―悩みが消えていく禅の言葉』 紹介者 浪花朋久(大学チャプレン)【2025年1月15日掲載】
チャールズ・M・シュルツ/著 谷川俊太郎/訳 枡野俊明/監修 光文社
ピーナッツコミックでは、世界で大人気のスヌーピーをはじめ、チャーリーブラウンなどのキャラクターたち(ピーナッツギャング)の日常が、ユニークにそして哲学的に描かれています。今回ご紹介する本書は、ピーナッツギャングの日常を素材にして、禅の言葉をとてもわかりやすく解説しています。「スヌーピーと禅の言葉?」と思われるかもしれませんが、これが意外にマッチするのが本書の特徴です。
禅の言葉をはじめとした魂に呼びかける言葉は、難しい本にしか記されていないという先入観を、この本は払拭してくれます。読んでいるうちに、スヌーピーの穏やかな表情やチャーリーブラウンが愛らしく悩む姿が、禅の言葉と上手くはまり、気がつくと自分自身の心も穏やかになったり、自分自身が愛らしく思えたりします。
日々の生活で心や魂が疲れている時に、1ページでも良いので本書をお読みください。そうすれば自分で自分を否定したり、無意識に日々をルーティーン化したりする自分の姿に、スヌーピーが気づかせてくれます。そして、そこから自分で自分を愛し、心を整えることができるようになるのです。「何か疲れた」と思った時にこそ、私たちの魂には癒やしが必要です。そんな時に、本書をお読みいただければと思います。
『穏やかなゴースト: 画家・中園孔二を追って』 紹介者 高橋真菜緒(図書館利用支援課)【2025年1月15日掲載】
村岡俊也 新潮社、2023年 3,630円(税込)
ひとでも音楽でも絵画でも、出会った瞬間にこころを鷲づかみにされた経験はありませんか?
『ポスト人間』(東京都現代美術館所蔵)、これは夭折の画家・中園孔二(1989-2015)が18歳のときの作品です。
どんなひとが描いたのだろうかと思いながら、幾度となく美術館を訪ねていたところ、本書出版の情報を聞きつけ、走って(?)書店に行き購入、一気読みしました。バスケに熱中する高校生が不意に絵を描くことに目覚め、東大より難しいともされる(?)藝大に現役入学した直後からその才能を認められ、バスケで培った身体能力により超人的ともいえるパワーで制作に打ち込む。そして、卒業制作はすぐに有力画廊の「買い上げ」となり、数々の賞を受賞する・・・。本書は家族、友人、恋人、専門家に取材を重ね、そんな中園の人物や行動、精神世界をくまなく検証する試みと言えるでしょう。冒頭で紹介した『ポスト人間』以外にも数多くの図版が掲載されており、読み進むにつれてそれらが一層、胸に迫ります。
とても優しくて周囲のひと誰からも好かれながら、「生と死のギリギリの辺りを歩いていた」そして「<ソウルメイト>を希求していた」(周囲のひとびとの「証言」から)。音楽を愛し、思索し、絵画や制作への想いをノートに綴った、誤字脱字だらけの「拙い」ともいえる彼の言葉にも打たれました。「絵は自分自身の片方である」「絵画は性質的に、うそをつくことができない、純度の高い<優しさ>である」。
読後は絵に漂う不穏さや昏さ、哀しみのが、少し解ったようにも感じられました。「こころを鷲づかみにされる」とは、もしかすると彼我の「こころに持つ磁石」が引き合うことなのかもしれませんね。生憎図書館では所蔵していませんが、山手線沿線私立大学図書館コンソーシアム加盟の明治大学・専修大学で利用可能です。是非!
『逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ』 紹介者 江原つむぎ(キャリアセンター)【2025年1月15日掲載】
真山知幸 実務教育出版
タイトルどおり「嫌なことがあったら逃げたらいいよ」というメッセージが散りばめられた一冊。誰もが知るあの文豪もこの文豪も、逃げっぷりの豪快なこと。人間関係からも、仕事からも、借金からも逃げる逃げる。そんな彼らの名言には、「人生はつくるものだ、必然の姿などというものはない」とかっこいいものもあれば、「どんな真面目な仕事も、遊戯に熱しているときほどには、人を真面目にし得ない」と元も子もないけど、変に納得してしまうものも紹介されている。くすっと笑いながらお気に入りの名言を見つけてみてほしい。
『上流階級 富久丸百貨店外商部』 紹介者 江原つむぎ(キャリアセンター)【2025年1月15日掲載】
高殿円 小学館
もとはパティスリーに勤めていた製菓専門学校卒業の主人公がご縁あって中途で百貨店の正社員になり、外商部で奮闘する物語です。高級腕時計や宝石といったモノだけでなく、お客様からの要望があればお誕生会やら留学やらも手配したり、同行したり。わがまま無理難題を言ってくる上流階級のお客様を相手に主人公が様々な工夫を凝らして応えて実績を出していく姿が描かれています。濃いキャラクターのお客様や同僚たちとコミカルなやり取りが続くので最初から最後まであっという間に読めてしまいます。スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱した「計画的偶発性理論」では「仕事において意図せずに生じる予測不可能な出来事に柔軟に対応し、その積み重ねによってよりよいキャリアを築ける」と考えられています。本書の主人公もまさに思い描いていたとおりの仕事じゃなくても、与えられた場所で意識的に行動し、新たなチャンスを引き寄せ、自分のキャリアを歩んでいきます。主人公のがんばりに元気をもらいながら、こんなお仕事もあるのだな、と新たな世界を知ることができます。
『嫌われる勇気』 紹介者 丹羽祥太郎(しょうがい学生支援室)【2025年1月15日掲載】
岸見一郎/古賀史健 タイヤモンド社、2013年12月13日
日々生きている中で、我々は大小様々な悩みや苦しみに直面する。しかし、もしこの世の中に自分以外の人間がいなければ、悩みや苦しみという概念が果たして存在するのだろうか、と思う時はないだろうか。
アルフレッド・アドラーはフロイトやユングと並ぶ心理学の巨匠で、本著はアドラー心理学の考え方を、悩める青年(主人公)と哲人(哲学者)の対話形式で現代風に解説した内容となっている。主人公の青年は様々な困難や悩みを打ち明け、哲人から大きなヒントとなる考え方を与えられる。そして、そこから青年は更なる困難や悩みと向き合うこととなる。
「すべての悩みは対人関係の悩みである」「自由とは他者から嫌われること」など、アドラーの考え方を分かりやすく解説した本著はベストセラーにもなり、既に目に触れている方も多いだろう。まだ読んでいない学生はぜひ手に取ってほしい。分かりやすく一気に読み進めることができる。そして、読み終わった後、これから長い人生を過ごす中で、これまでと異なる考え方や新たな視点という自分自身の「武器」を入手しているはずである。
最後に、本著で印象に残った考え方を個人的に1つ紹介したい。「困難に直面することを教えられなかった子どもたちは、あらゆる困難を避けようとするだろう。」
メールアドバイスサービスFAQ
オンライン授業について
1年生です。私は今、授業について悩んでいます。オンライン授業で課題が多くてストレスです。目にも負担です。言語系科目は毎週課題が出るし、複数回レポートを書かせる科目もあります。週によってはいくつも課題が重なることもあり大変です。また、レポートを書いたことがないので不安なのに、それで成績がきまるので途方に暮れています。課題をこなすだけで時間がなくなり、授業の復習をしたいのに出来ません。授業についていけなくなったらどうしようかと怖いです。「C」とかギリギリで単位を習得したくないです。奨学金を借りているのでその点でも成績が気になります。
オンライン授業は頭も体も目も疲れますね。1年生の皆さんは大学の授業を初めて受けるのに加えてオンラインなので、戸惑われることが多いでしょう。
大学の単位は、科目の種類にもよりますが、おおむね授業時間の倍の時間の自習を含んでいますので課題が多いのです。そのため、高校までのように時間割をびっしりと詰めないように制限があるのです。また、大学の成績評価は高校までの成績評価とは異なる点があります。授業の内容を全部覚えても成績には必ずしもつながりません。さらに、大学には様々な専門領域がありますが、その大きな違いは対象ではなく、対象への接近の方法だといってもよいかもしれません。つまり、各学部にはその学部特有の方法論があり、それに基づいて特有の思考経路や回答方法があります。レポートの書き方も異なります。皆さんはそれを学んでいくわけですから、初めから完全にできるわけがないというか、できるなら学ぶ必要がないとも言えます。
相談を拝見して、何事にもまじめに取り組み、きちんとこなしてきた方なのだろうと想像しました。それはあなたの良い資質であり力です。大学ではそれをさらに発展していきましょう。発展するためには、それまで積み上げたものをいったん壊して、あらたに積み上げる必要があります。より柔軟な構造を持つことでより高く頑丈に積み上げることができます。今、その転機にきているとお考え下さい。
時には頑張り、時には休み、無理なく今できることをしておきましょう。それで結果が良くなかったとしたら、そこには新たに取り組むべき課題があるということです。それが分かれば次にはもっとうまくやれるように考えればいいだけです。成績に一喜一憂することはありません。
もうひとつこっそりお教えしますが、大学の成績には時々、コツとかセンス(あるいは運)としか言いようのない不可解な部分があります。「ちゃんとやったら必ず良い成績が取れる」と思わないほうがよいかもしれません。そのように考えると、「好い成績が取れないのは自分がちゃんとやらなかったせいだ」ということになり、いたずらに自分を追い込んでしまいます。少々手を抜いても、学ぶ楽しさを発見してくださるといいと思います。
家族のことについて
家族のことで相談です。私の家族は些細なことで言い合いになったり険悪な雰囲気になったりします。通常は家族それぞれ家の外で活動しているので、顔を合わせる時間も少ないのですが、ここしばらくはコロナの影響でみな家にいる時間が長く、ストレスが溜まっていていつもよりも雰囲気が悪くなってしまうことが多いです。父は自分の感情を抑えるのが苦手で、大声を出したりきつい言い方をしたりします。私は人が強い口調で話したり、雰囲気が悪くなっていたりするのがすごく苦手で、自分が直接言われていなくても苦しくなってしまいます。母はほかの家族の悪口をよく私に言ってきます。私はそういう話を聞くのも嫌でやめてほしいのですが、母も私以外に話す人がいないと思うと言えません。最近は何も無いのに涙が出たり暗い気持ちになったりします。
大切な家族が言い合いをしてお互いに傷つくのをみれば苦しくなるし、自分も傷つきますね。また、言い合いをしていないときにも、いつ言い合いになるかと不安な気持ちでおられるでしょうか。自粛で家にいる時間が大幅に増えた今、あなたもご家族もそれぞれに大変辛い状況にあることをお察しします。
このような家族の状況を変えていくためには、話し合うことが重要です。
そこで、まず2つのことを考えてください。ひとつ目は、家族の問題には長い時間の積み重ねと深くて濃い思いがあるので、解決には時間とエネルギーがかかるということです。一度の話し合いで解決はしませんので、辛抱強く取り組むことになります。逆の言い方をすれば、一度や二度うまくいかなくてもがっかりしたりあきらめたりすることはありません。
もう一つは、今が変化の時だということです。大学生は親の保護下にいますが、高校生までと比べて行動の範囲が大きく広がり、生活の中で親の知らない部分が増えます。そして卒業後には社会人となり親の元を離れるかもしれません。あなたが大学生になったときから家族の変化の時期が始まっています。そこに加えてこの社会全体が大きく揺るがされる事態が起きているのです。ストレスの多いときに大事な話を持ち出さないほうがいいとも言えますし、それぞれの思いを出し合う発火点として良いタイミングとも言えます。その違いは、家族それぞれがなんらかの方法でストレスを逃がすことをある程度できているかどうかです。ご家族の状態をよく観察して判断してください。
この2つのことを考え合わせて、今始めるかどうかを決めてください。やってみようと思われるならば、まず手始めは家族にあなたの気持ちを伝えることです。メールに書かれたあなたの気持ちを正直に言ってみましょう。誰が悪いとか何が正しいとか言うのではなく、あなたがどういうときにどのように感じているかを伝えるにとどめます。誰を責めるのでもないですが、もしも誰かの言動を変えてほしいと思うなら、それを頼んでみてください。 まずは話しやすい人から、お父様やお母様以外のご家族でもいいです。
2つの条件や家族の状況を考えて、今始めるのは難しいと思われるならば、行動をしないという選択をしてもよいのです。それでも自分を責めることはありません。時を待ちましょう。その場合は、ご自分のストレスを減らしたり気分を変えたりしてご自分をいたわってあげてください。HPでご紹介しているリラックス法も参考に、自分にあったリラックス法を見つけてください。
就職・進路について(その1)
就職活動がうまくいっていません。web面接直前にお腹が痛くなったり、面接中に言葉に詰まって頭が真っ白になったりします。もし就職できなかったらどうしようと不安でたまりません。就職できなくても死ぬわけではないと自分に言い聞かせても不安が収まりません。これまでの受験のように偏差値があればわかりやすいのですがそういうものもないので、自分にどこまで期待していいのかわかりません。折れない心の持ち方を教えてください。
こんにちは。このような事態の中で就職活動を行うのはさぞ大変でしょう。Web面接などこれまでの就活生が経験していないこともあり、情報がなくて不安になられるのも無理ありません。今は企業も採用を控えがちですし、事態が落ち着いてからも採用活動はありそうです。ですから、今年の就活は例年よりもさらに長期にわたる可能性があります。長期の活動を維持するコツは、多少の雑やムラがあってもよしとすることです。文面から、真面目でものごとをきちんとしたい方ではとの印象を受けました。この機会にぜひ気まぐれやぐうたらも取り入れて自分の幅を拡げてください。就職したらその先は、就業が長く続いていきます。頑張れ頑張れだけではなく、自分という資源にもsustainableでなくてはなりません。その観点から就職先を選ばれてはいかがでしょう。
大学より先は、本当に人それぞれの人生を歩んでいきます。偏差値のような横並びの目安はもうありません。自分らしい無理のない仕事や生活を選択していくためには、人と比べないこと、人の目を気にしないことが大切です。
就職・進路について(その2)
就活にあたって、自分の気持ちと親の気持ちのどちらを優先したらよいかで悩んでいます。私はもともと地元で教師になるつもりで大学に入りましたが、やりたいことが見えてきて、大学3年の後半には東京の一般企業の就活に転向しました。両親は、卒業後には実家に戻ると思っていますし、家業と祖父母の介護とで母が大変な家庭の状況があり、私が手伝うことを期待されています。わたしが実家に戻らず就職しようとしていることを、母はうすうす勘づいているようですが、そのことを話そうとすると避けるので私も話さないできました。家族は私にとってとても大切な存在で、両親の気持ちや状況もよく分かるし、両親の老後など将来のことも考えています。自分のやりたいことやしたい生活をあきらめて実家で過ごすか、両親に申し訳ない気持ちを持ちつつ県外で就職するか、毎日悩んでいます。
ご家族のことを大切に思うあなたにとって、自分の気持ちと親の気持ちの間で迷うのは、とても苦しいことだと思います。かけがえのないご家族をがっかりさせたり負担をかけたりすることへの申し訳なさはどんなにか強いことでしょう。一方で、あなたがこれまで大学生活で色々なことを学び、経験し、新たな目標や生き方を見出されたこともかけがえのないことです。
わたしたちは生きていくうえで、何かを選ばなくてはなりません。あなたはどちらの生き方を選んでもいいし、どちらも価値ある人生たりえるでしょう。そして、その選択の責任はあなた自身がとるしかありません。ただし、家族もあなたもこの先変化していきます。未来の家族の状況には不確定要素が多くあり、先は読めません。その状況に応じて方向転換をしてもいいし、現在悩まれている二つの選択肢以外のありようもあるかもしれません。自分の責任は自分がとればいい、そして変更も可能、と思えば、選択も少し気が軽くなりませんか。
ところで、あなたがこれだけ家族のことに心を砕き、悩んでいることを、ご家族はご存知でしょうか。あなたが迷っていることを伝え、ご両親の気持ちを直接聴くことが大切だと思います。葛藤があったとしても、親は何より子供の幸せを優先したいと思うのではないかと思いますよ。どちらにとっても直面したくない話題であるようです。今すぐに話さなければいけないというわけではありません。話すにふさわしいタイミングや場面があるでしょうから、その時を逃さないように、ご自分の気持ちを整理しておくとよいでしょう。
就職・進路について(その3)
コロナの影響で5~6月に予定されていた公務員試験がすべて延期となりました。今後どうなるかは不明で、あと何ヶ月間か先の見えない日々を過ごさなければなりません。今何を頑張ればいいのかわからず、心が落ち着きません。受かる自信はあまりなく、だからといって勉強に励めるわけでもなく、心だけを疲弊させて何もせずに過ごしています。「みんな平等にこの状況に置かれているのだから」と言われますが、周囲の人がしっかりと就活をして内定を取ったと聞くと、できない自分が情けなく、この先どうなってしまうのかと不安になります。
公務員試験や国家試験の日程が延期になり、今後の実施予定もどうなるかわかりませんね。本来なら、5月6月と試験を受けつつ勉強を進めて、自分でも手ごたえを得ることができたでしょうし、試験に合わせて対策もたてられたでしょう。こんな状況の中、試験勉強を続けるのはとても難しいことです。まず、勉強がはかどらないと自分を責めないで、今まで積み重ねてきた勉強、それによって培われたあなたの実力を信頼してください。周りの学生が内定をもらった話を聞くと、公務員志望の人たちは焦ってしまいがちです。試験が後に集中してくることになっただけ、と考えましょう。本番はまだ先です。
勉強に関しては、まず今の力を維持することを目指しましょう。新しい分野に手をつけるより、できたところをおさらいして、確実に点数を取れるように確認してください。復調までの時間の使い方のコツとしては、目標を小さく区切って1週間、1か月単位で設定します。通常のペース設定より、手始めに5割減から、それができたら3割減、それもこなせたらもう1週間3割減をしてから2割減に、とゆっくりペースを上げてください。こなせなければ足踏みしても後退してもいいです。達成できることが大事です。「小さな目標、小さな達成」を目指してください。
一方で、この機会に立ち止まって、他の選択肢を検討してもいいし、もう1年先を目標にしてもいいかもしれません。この試験に受からなければ、今年度就職しなければ、など、「~しなければ」が付く考えがあるなら、本当にそうなのか考えてみましょう。想定外の事態がたくさん起こり、仕事や生活のあり方が問い直されている今、わたしたち一人一人がどう生きるのかとの問いに向き合っていると言えます。
就職・進路について(その4)
1社から内定をいただき就職活動を終えました。それなのに、モヤモヤした気持ちが続いています。何がモヤモヤしているのか自分でもわかりません。一応、最終的には納得して前向きな気持ちで内定を承諾したのですが、就職活動を早く終わらせたい気持ちが強く、自分でも逃げた気がしてなりません。「内定さえ出れば自由になれる」そう信じて、つらい就職活動に頑張ってきました。しかし内定が出ても、さらに続けるべきか、内定取り消しにならないかなどの新たな悩みや不安が起きました。私の周りは内定が出ていない人が多く、この悩みを打ち明けても、贅沢な悩みだと言われるのが目に見えて、より一層孤独を感じます。
新型コロナの感染拡大の中で就職活動を続けてこられて、とても大変だったことと思います。内定が出てホッとすると同時に、どっと疲れが出たのではないでしょうか。
この「モヤモヤ」はうれしくはないけれど、あなたにとって大事なことのように感じます。「モヤモヤ」を無理に押し込めたり、見ないふりをしたりせずに注目されたのは良いことです。
まずは、ひと休みしましょう。あなたは休むにふさわしいだけ頑張りました。今はあれこれをいったん押しやって、こころのスペースを広げましょう。そして、息を吐き、からだを伸ばして、自分を労わってあげてください。そうして一息ついたら、気持ちのいいことをしましょう。例えば、自分の好きなこと、就活中だからと控えていたこと、こころやからだが心地いいと感じることなどをしてみましょう。そうして、本来のこころのエネルギーを回復させましょう。こうして、こころのスペースが広がり、エネルギーが出てきたところで「モヤモヤ」をじっくりと眺めて対話をしてみてください。進路はあなたにとって重要なことです。じっくり検討されるのが良いと思います。「モヤモヤ」と対話するのをお手伝いしたほうがよいようなら、どうぞ学生相談所にご連絡をください。