| レポーター | 村田 千織さん |
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活動レポート
2025年9月からラオスのUNICEF(国連児童基金)で活動中の村田さんのレポートです。
2025年12月
Edutenモニタリング調査
12月初旬、担当コンサルタントと共に、算数科目を対象に導入が開始されたAIデジタル教材「Eduten(エドゥテン)」のフィールドモニタリングを行いました。
私は以前のレポートでも言及したとおり、10月にこのプログラムを実際に使用する小学校教師向けの研修に参加しました。研修の場では、Edutenのスタッフがタブレットの使い方からプログラムの進め方まで丁寧に説明し、教師たちが内容を理解できているかを確認しました。しかし、そもそもスマートフォン等をはじめとするデジタル機器自体を使用したことがない教師も少なくなく、数日間の研修ですべてを習得することに苦戦する様子も見られました。また、当時何人かの教師に行ったインタビューを振り返ると、すでに通常の授業運営自体に難しさを感じている教師にとっては、新たなプログラムの導入に不安を感じているという声もありました。
そして今回のモニタリング訪問を通して、実際の教室でどのように活用されているのかを目にし、多くの新たな気づきがありました。
研修中にスムーズに自分で理解していた教師の中には、授業の中でEdutenを柔軟に活用している姿が印象的でした。また、研修時には想定していなかった課題に対し、独自の工夫を取り入れているケースもありました。例えば、生徒がログイン時に必要となるパスワードを管理できない場合には、教師が一覧で管理したり、成績優秀な生徒をランキング形式で掲示して表彰し、子どもたちの学習意欲を向上させたりする工夫が見られました。他には、いきなりタブレットを使わせるのではなく、授業前に教師が学習範囲の問題をデモンストレーションする時間を設けるなど、それぞれの教室の状況に合わせた対応も行われていました。

こうした実践から、新しいプログラムや教材を導入する際には、教師が生徒の理解度や状況に応じて柔軟に対応する重要性が浮かび上がりました。
一方で、いくつかのクラスでは、生徒数に対してタブレットの数が不足し、時間をもてあます生徒が見受けられるクラスや、教師が教師専用の管理画面を十分に活用できておらず、教室内での生徒一人ひとりの進捗状況を効果的に把握しきれていないなど、実際の運用の中でつまずいている場面も見られました。
また、忘れてはならないのは、実際にEdutenを使う子どもたちがどう感じているのかを丁寧に聞き取ることです。ある生徒は、自分で実践的に算数の問題を解くことが増え、ゲームのように楽しんで学習できることが楽しいと話してくれました。一方で、ある生徒はEdutenは自分には難しすぎるから好きではない、と話してくれました。生徒一人ひとりのレベルに合わせた問題がAIでパーソナライズされることが特徴のツールとはいえ、やはりすべてをAIに任せきることはできず、教師らが必要なサポートを施しながら適切にツールを活用する必要性を理解しました。こうした状況から、実際にプログラムが施行されたあとの成果は小学校や教師らに大きく左右されることもわかりました。今回の訪問を通して感じたのは、どれだけ良い仕組みや支援であっても、それを実際に使う「人」によって成果が大きく変わるということです。だからこそ、機材やシステムだけでなく、それを扱う人材の能力を育てること(キャパシティ・ビルディング)が不可欠だと感じました。
教育の成果はすぐには見えにくいものですが、こうした一つひとつの取り組みが、長い時間をかけて人や社会を変えていくのだと思います。現場に足を運んだからこそ得られたこの実感を、今後関わる活動にもつなげていきたいです。

広がるキャリアの選択肢
同じ教育セクションでお世話になった日本人の同僚が契約期間を終えて帰国することになり、ラオス在住の日本人コミュニティで送別会が開かれました。
JICA、NGO、大使館、国連など、さまざまな機関で働く日本人の方々とお話しする中で、それぞれがどのようなモチベーションでこれまでのキャリアを築いてきたのかを知ることができました。
印象的だったのは、すべての人が最初から国際協力一筋で歩んできたわけではないという点です。異なるキャリアや専門分野を経て現在の仕事にたどり着いた方も多く、必ずしも国際協力に一直線に進むことだけが正解ではなく、さまざまな道を経ながらキャリアを選んでいくことの面白さを感じました。

一方で、同級生や周囲の就職活動の話を聞くと、彼らとは異なる道を歩むことに焦りを感じたり、「戦略的にキャリアを積み上げなければならない」というプレッシャーを抱いたりすることもあります。そうした中で、社会的な理想像が自分自身の思いを覆い隠してしまうこともあると感じています。しかし、それらはあくまで判断のための一つの材料に過ぎず、最終的な選択は自分自身で決めるものだと思います。だからこそ、今目の前で経験している一つひとつの出来事を通して、自分が何を感じ、どんな形で自分の人生を形作りたいのか?という問いに丁寧に向き合っていきたいと改めて感じました。

ネズミに悩まされる夜!
ある日、就寝しようとしたところ、ベッド近くから「カリカリカリッ」という、何かが壁をかじるような音が聞こえてきました。まぎれもなく、それはネズミが壁をかじる音で、とても眠るどころではありません。罠を仕掛ける勇気もなく、そもそも持参してもいなかったので、どうにかして退散してもらおうとネズミ撃退法を調べました。すると、人間には聞こえないものの、ネズミなどの小動物には聞こえる超高周波(15-20Htz)を流せば、嫌がっていなくなるという方法を見つけました。そこで、Youtubeでさっそくその音を流すと、ネズミの音は一向に止まないのにも関わらず、私にはその音がはっきりと聞こえてしまい、逆に自分が部屋から退散したくなる始末でした。
最終手段で、猫が威嚇する鳴き声を探して流したところ、ようやくネズミの音は止まりました。しかし、未明に超高周波と猫の威嚇する声にさらされ続けた私はすっかり疲れ切ってしまいました。 これまでバングラデシュやインドでネズミを見たことは何回もありましたが、そのときはどこかかわいらしい小動物のように思っていました。ただ、道端で見かけるのと家に住まわれるのは状況が違うのだと学び、こうした体験も、開発途上国での生活ならではのユニークな経験のひとつだと感じています。